2021年6月26日土曜日

東京都水道局で多発した「談合事件」問題について

◆東京都水道局の談合事件の概要

 2019年12月10日に報じられた「都水道局談合、賠償金など4.7億円請求」というニュースをご記憶されているでしょうか。当時の報道を抜粋すると、「都は公正取引委員会から課徴金納付を命じられた2社について、平成26~30年度の談合計30件について違約金計約3憶2千万円を請求。さらに4社と都職員ら2人に対して26~29年度の談合4件について連帯で約1憶5千万円の損害賠償を請求した」というものです。そもそも公正取引委員会から指摘を受けて問題が発覚した不祥事であり、特別監察・事情聴取対象の水道局職員(退職者を含む)だけでも384名を数える大きな事件でした。さらに都水道局の7つの浄水場が関わる大規模なものであり、「調査特別チーム」が報告書をまとめています。ただ、報告書の内容を精査すると、一部の事案では「契約課の複数の職員が事務処理に関わっていたため、原因者は特定できなかった。」というお粗末なものであり、私たちの税金が調査費用に投下されている中で、納得感の乏しいものと言わざるを得ません。


  調査チーム報告書抜粋(長年続けらてきた都水道局と業者との癒着)



◆境浄水場の大規模プラント化は無用の長物。誰のための大規模工事?

 2015ー2016年にアップした当会の意見書を参照頂ければ分かりますが、東京都水道局の水の受給計画では、そもそも水に余剰感があります。日本国内で唯一の大規模緩速濾過池を擁する境浄水場は約100年の歴史を持つ歴史的な遺産です。それを破壊し、周辺住民に有害なオゾンや漏水事故などのリスクを押し付ける大規模開発行為はまったく甘受できるものではありません。

 境浄水場の導水管の拡張を含めると、本事業は数千億円もの公金が必要になります。都内が水不足であればまだしも、極めて無駄な大規模公共事業のどこに社会正義はあるのでしょうか?地震対策であれば水道管そのものを耐震化し、既存施設の強靭化を図れば済む話です。耐震化工事のためにもう一つ新しいプラントを丸ごと作っておこうという発想も、そもそもメンテナンスの工法を十分検討したものとは言えず、民間企業ではあり得ません。例えれば、東北新幹線の耐震化やメンテナンス工事のために、もう一つ高架橋を建設して東北新幹線を2つ作るような無駄な投資はあり得ません。民間であれば費用対効果のガバナンスが発揮され、明らかに無駄な事業は計画されません。水道局が民営化されていたり、電力会社・ガス会社のように自由価格競争制度が導入されていれば、このような無駄な話はそもそも計画されないものと思います(水道管と既存設備を耐震化すればよいだけの話です)。