2021年6月29日火曜日

アレルギー・喘息をもたらす広大な雑草地を放置。いつまで続く杜撰な管理

 ◆たかが雑草、されど雑草

・境浄水場の東側には推定1000㎡程度の広大な都有地である「雑草地」があります。2015年から翌16年にかけて開催された境浄水場再構築説明会において、浄水場周辺の灌木・雑草の管理について周辺住民から複数の苦情が寄せられました。当時はこういった苦情が寄せられないようしっかり対応する旨の都の職員の方の説明でしたが、5年を経過した今夏も雑草問題は放置され、たな晒しの状態が続いています。

・武蔵野市の条例では「あき地の管理の適正化に関する条例」が定められており、浄水場東側の広大な雑草地は同2条1項のあき地の定義に該当し、同2項の雑草が繁茂し、生活環境を著しく損なうような状態に当たります。(民有地であれば小さな空き地でも雑草の伐採をしています。)

たかが雑草の問題ですが、①東京都の住民軽視の証左とも言える象徴的な存在であること(上記の境浄水場再構築説明会に限らず、市の関前地区タウンミーティングでも問題になり、市から都に改善を申し入れています)、②後述の健康被害のリスクを伴う状態であることから、ブログで紹介することにしました。なお、2016年の当ブログでも周辺住民の方の意見を紹介しています。


   2021年6月17日撮影(本稿執筆の6月29日でも状態は変わらず)



都道調布保谷線(新武蔵境通り)の排気ガスとブタクサ等の雑草はアレルギー・喘息の原因物質を発生

・上記の雑草地はブタクサやセイタカアワダチソウ等のアレルギーを引き起こす雑草が繁茂する状態にあり、開通した都道調布保谷線からの排気ガス(微粒子状物質)と交じり合うことで、周辺住民や隣接する中学校生徒、公園で遊ぶ児童等にアレルギーや喘息を惹き起こす不適切な状態が放置されています。

・微粒子状物質とアレルギーの関係は大阪大や東京医科歯科大、兵庫医科大などの研究で明らかにされています。私たちは道路管理者である東京都建設局に対して、広大な雑草地の適切な管理について何度も改善を申し入れています。しかしながら諸々の対応の遅れについて、都は新型コロナウイルスを理由に挙げ、対応が進んでいません。新型コロナウイルスが発生する何年も前から繰り返し改善を要請していますが、苦情が来るまで一切対処せず、苦情がきてもコロナを理由に放置する酷い有様です。なお、東京都水道局におかれては南側の雑草を刈る作業に合わせて東側の雑草地を刈るか、東京都建設局としっかり連携し、境浄水場の周辺環境を適切に維持されるよう要請します(都民の目線では同じ都庁内の話です)。



大阪大学「微細粒子の吸入によるアレルギー性炎症の発症機構を解明」より引用



武蔵野市あき地の管理の適正化に関する条例(抜粋)

(目的)第1条 この条例は、あき地の管理の適正化を図ることにより、生活環境を保全し、もつて健康で安全な住民生活を確保することを目的とする。

(定義)第2条 この条例において「あき地」とは、現に人の使用していない土地をいう。

2 この条例において「危険な状態」とは、雑草(かん木を含む。)が繁茂し、又は事故発生の要因となるような危険物、その他の廃棄物等が管理されないまま放置されているため、住民の健康を害し、犯罪を発生させる等、生活環境を著しくそこなうような状態をいう。

(所有者等の責務)第3条 あき地の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、当該あき地を危険な状態にならないように常に適正に管理しなければならない

(勧告)第4条 市長は、あき地が危険な状態にあると認めるときは、当該あき地の所有者等に対し、期限を定めて、危険な状態の除去について勧告することができる。


2021年6月26日土曜日

東京都水道局で多発した「談合事件」問題について

◆東京都水道局の談合事件の概要

 2019年12月10日に報じられた「都水道局談合、賠償金など4.7億円請求」というニュースをご記憶されているでしょうか。当時の報道を抜粋すると、「都は公正取引委員会から課徴金納付を命じられた2社について、平成26~30年度の談合計30件について違約金計約3憶2千万円を請求。さらに4社と都職員ら2人に対して26~29年度の談合4件について連帯で約1憶5千万円の損害賠償を請求した」というものです。そもそも公正取引委員会から指摘を受けて問題が発覚した不祥事であり、特別監察・事情聴取対象の水道局職員(退職者を含む)だけでも384名を数える大きな事件でした。さらに都水道局の7つの浄水場が関わる大規模なものであり、「調査特別チーム」が報告書をまとめています。ただ、報告書の内容を精査すると、一部の事案では「契約課の複数の職員が事務処理に関わっていたため、原因者は特定できなかった。」というお粗末なものであり、私たちの税金が調査費用に投下されている中で、納得感の乏しいものと言わざるを得ません。


  調査チーム報告書抜粋(長年続けらてきた都水道局と業者との癒着)



◆境浄水場の大規模プラント化は無用の長物。誰のための大規模工事?

 2015ー2016年にアップした当会の意見書を参照頂ければ分かりますが、東京都水道局の水の受給計画では、そもそも水に余剰感があります。日本国内で唯一の大規模緩速濾過池を擁する境浄水場は約100年の歴史を持つ歴史的な遺産です。それを破壊し、周辺住民に有害なオゾンや漏水事故などのリスクを押し付ける大規模開発行為はまったく甘受できるものではありません。

 境浄水場の導水管の拡張を含めると、本事業は数千億円もの公金が必要になります。都内が水不足であればまだしも、極めて無駄な大規模公共事業のどこに社会正義はあるのでしょうか?地震対策であれば水道管そのものを耐震化し、既存施設の強靭化を図れば済む話です。耐震化工事のためにもう一つ新しいプラントを丸ごと作っておこうという発想も、そもそもメンテナンスの工法を十分検討したものとは言えず、民間企業ではあり得ません。例えれば、東北新幹線の耐震化やメンテナンス工事のために、もう一つ高架橋を建設して東北新幹線を2つ作るような無駄な投資はあり得ません。民間であれば費用対効果のガバナンスが発揮され、明らかに無駄な事業は計画されません。水道局が民営化されていたり、電力会社・ガス会社のように自由価格競争制度が導入されていれば、このような無駄な話はそもそも計画されないものと思います(水道管と既存設備を耐震化すればよいだけの話です)。



 

2021年6月25日金曜日

2013年に有害「オゾン」を含む実証実験?2019年にも新たな動き

 ◆はじめに

 こんにちは。久しぶりに当ブログを更新します。境浄水場の再構築計画は2015年から16年にかけて市民・市議会を巻き込んで地域の大きな問題になりました。その後、東京都水道局内の不祥事なども重なり(※)、一旦計画が白紙になったかのように見えますが、後述の通り水面下で事業が動いていましたので地域の方にご報告します。

※本件と東京都水道局の不祥事は直接の因果関係はないと見られますが、都民の信頼を大きく失墜させた事件でした。東京都水道局におかれては、2015年の住民説明会の工事計画から事業計画・工期を変更するのであれば、言いっ放しにせず、適時丁寧な説明を願います。


◆「随意契約」で締結した設計事務所が2回にわたり基本設計を受注

 境浄水場に関して、2019年4月に「境浄水場再構築基本設計委託事業その2」として基本設計の入札が行われています。T設計事務所が5346万円で落札していますが、実はこの入札の際、Nコンサルタントが入札手続きに参加しながら途中で「辞退」をしています。

 さらにその入札に遡ること5年半前の2013年11月には「境浄水場再構築実施設計委託その1」として5439万円の「随意契約」により、その2と同じT設計事務所が公開入札を経ずに東京都水道局から受注をしています。


◆基本設計委託事業その2には「オゾン処理施設」(2019年4月)

 東京都水道局の他の浄水場の立地(金町など河川敷内)とは異なり、境浄水場は住宅街のど真ん中に立地し、至近距離に公立中学校や集合住宅などが多数あります。そういった住宅地に「オゾン処理施設」のプラントを含む工事設計が行われています。人々の健康に重大な影響を与える「オゾン」を「大量」に扱う施設に関して、東京都は安全性に関する住民説明をおざなりにしたまま、水面下で事業が行われています。


<その2の内容>

・履行場所  東京都武蔵野市関前一丁目8番37号(境浄水場)

・工事概要  基本設計一式(着水井、急速かくはん池、フロック形成池、沈澱池、急速ろ過池、塩素混和池、浄水池、送水ポンプ施設、共同溝、場内配管、排水池、排泥池、濃縮槽、機械脱水施設、管理本館、薬液注入施設、受変電施設、自家発電施設、オゾン処理施設、生物活性炭吸着池)

・実施設計 一式(場内整備、緩速ろ過池撤去等)


◆基本設計委託事業その1では「オゾン処理」を含めた「水処理実験」が行われていた可能性(2013年11月)

 2015年に初めて行われた住民説明会に先立つこと2年前、2013年11月に「委託事業その1」が東京都水道局とT設計事務所の間で「随意契約」として締結され、地域住民への説明もなく「オゾン処理」を含めた「水処理実験」が行われていた可能性があります。東京都水道局は地域住民への丁寧な説明を行い、公開された入札・随意契約の情報で地域住民の不信感を招かぬよう、適切かつ丁寧な情報発信を願います。


 私たちは地域住民への説明を蔑ろにしたまま、危険物を扱う実証実験を行うことに強く反対します。もし公共性があり実証実験を行うのであれば、事前に地域住民に対して、オゾンの発生量、オゾンの漏洩対策、実験期間、環境への影響、地域の子どもを含めた安全対策について説明会を開くなど、公共事業を行う事業者としての説明責任を果たすべきと考えます(実験内容が不詳なため、一般論としての意見表明です)。


<その1の内容>

・履行場所  東京都武蔵野市関前一丁目8番37号(境浄水場)外1か所

・工事概要  実施設計一式(着水井、急速かくはん池、フロック形成池、沈殿池、急速ろ過池、塩素混和池、浄水池、送水ポンプ施設共同溝、場内配管、排水池、排泥池、濃縮槽、機械脱水施設、管理本館、薬品注入施設、受変電施設、自家発電施設、オゾン処理施設、生物活性炭吸着池、粉末活性炭注入施設、粉末活性炭接触池、その他浄水施設の稼働に必要な施設等)、水処理実験一式(実験施設設置・撤去含む)